Skip to main content

「KYOTO地球環境の殿堂」未来会議、古来文学(随筆)探究プロジェクトの第2回目のフィールドワークが、8月2日(土)嵐山・桂川(右京区)京都迎賓館・京都御苑(上京区)で開催されました。

当日は高校生・大学生28名と留学生チームが参加し、日本の古来文学に描かれた自然と文化を実地で体感するフィールドワークを通じて、自然と人、そして文学が織りなす豊かな関係性を学びました。

午前は嵯峨嵐山・桂川河川敷に赴き、『枕草子』『徒然草』『古今和歌集』などに登場する動植物の生息地で虫の音を鑑賞し、日本生態系協会の岩井大輔さんによる解説を受けました。平安時代に行われた虫撰の風習から派生した「虫聴き」の文化に触れ、失われつつある自然との共生の知恵に思いを馳せました。

午後は京都迎賓館・京都御所を訪問し、自然を映した意匠や、和歌が詠まれていた宮廷文化を学びました。迎賓館では、実際に目にした嵐山や比叡山の風景が織物として表現された空間に感銘を受け、日本の「おもてなし」に込められた美意識と匠の技に触れました。

その後は、SASAYAIORI+京都御苑での和菓子作りと歌会を体験。講師に京菓匠・笹屋伊織の十代目女将、田丸みゆきさんを迎え、「桔梗」をモチーフにした京菓子づくりを行い、自分の作品に菓銘(名前)をつけるというユニークなワークショップが行われました。和菓子の名前には、実は“聴覚”の要素—言葉の響きや詩的な美しさ—が込められているというお話も印象的でした。

最後に、参加者は抹茶と自作の和菓子をいただきながら、吉川成美センター長の指導のもと体験を通じて感じた想いを短歌や俳句として詠み合わせ、連歌を完成させました。英語の詩作を日本語へと翻訳する共同作業では、言語や文化の壁を越えた交流も生まれました。

古来文学に映された自然と暮らしを自らの感性で再発見し、和の心に触れた今回のフィールドワークは、時を超えて伝わる日本文化の本質と、それを未来へと紡いでいく可能性を深く感じさせる機会となりました。

このフィールドワークの模様は後日KBS京都で放送されました。