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センター長挨拶

上廣環境日本学センターの設立にあたり、これからの“環境日本学”の共創に向けてご支援をいただいた皆様に心より感謝申し上げます。

日本には、自然と人間、過去と未来、個と共同体が交わる「あわい」の文化があります。

それは、単なる境界ではなく、関係性が生まれ、新たな意味が育まれる場です。「あわい」は日本に限らず、世界中のさまざまな地域で文化的・宗教的(関係価値的)文脈に基づいて展開されています。そのアニミズム的な世界観は人間と自然、さらにはあらゆるいのち、人間同士の相互関係や因果関係の土壌でもあります。そこは、ものごとを生み出すダイナミックな「あわい」でもあるのです。この「あわい」の思考は、エコロジーや倫理、文化など多角的な視点から、現代社会に貢献し得る可能性を秘めています。

しかし、現代において、人間と自然を分断する境界が固定化し、私たちはこの「あわい」の豊かさを見失いつつあります。

当センターでは、日本の環境経験や倫理観を見つめ直し、人間と自然の関係を再考することで、持続可能な未来への道を探ります。異なる視点が交わり、新たな気づきが生まれる「あわい」としての場を築いていきたいと考えています。皆様と共に、この探求を深めていけることを楽しみにしています。

2025年5月1日

上廣環境日本学センター
センター長・特任教授

吉川 成美